あの日、風羽のプライドは神々によってズタボロにされてしまった。

 だが俺は打ちひしがれている風羽に、何も言えなかった。

 ……言おうと、しなかった。

 俺が言ってもお節介だろう、風羽を逆上させてしまうんじゃないか……なんて、馬鹿みたいに考えていたから。

 俺って……ただ外面がクールな小心者じゃねぇか。

 俺と同じ副代表の小鳥遊が、時々羨ましくなる。

 あいつとはキャラが被ってしまっているが、あいつはあれが素だ。

 だけど、俺はどうだ。

 ……こんなどうでも良いことに考えを費やしてしまう、馬鹿な男だ。

 今更それを治そうとしても、きっと治らない。これは昔っからの癖だから。

「ちっ……俺って本当に、馬鹿らしいな。」

 俺はいつも思っている言葉を小さく吐き出して、一人で打ちひしがれていた。



 その日は特にやることがなかったから、適当にそこら辺をうろついていた。

 Zenith室に行っても成生に絡まれるか、暇してるかだからな。

 はぁ……とため息を意味もなく吐いて、階段を上ろうと上を見上げる。