そんな……単純な事じゃないってことが。

「……まさか、な。」

 新さんは私の言葉に、あからさまに顔を曇らせてしまった。

 わ、私……変なこと言っちゃった……?

 こんなに嫌そうな顔をする新さんなんて滅多に見ないし、相当嫌な事を言ってしまったのかもしれない。

「あ、新さん、ごめんなさいっ!変な事、言っちゃって……。」

 こういうのは多分相談しないほうが良かったのかもしれない。凄く今更だけど。

 だけどここまで気分を悪くさせちゃったかもしれないと考えると……申し訳なさが募ってくる。

 慌てて私は新さんに謝り、あははと笑ってみせた。

 でも新さんは、そんな私の言葉を否定するように大きく言った。

「いや、変な事じゃないから大丈夫だ。少しだけ……気になることがあったからな。神菜が心配することじゃない。」

 新さんはそう言いながら、私の頭を優しく撫でてくれる。

 気になることって何だろう……?

 そう思ったけど、聞くのは流石にダメだと考えて口を噤んだ。

 それに、相談をしたのは私なんだから……心配しなくていいって言われても、気になってしまう。