「新さん、少し……聞いてもらえませんか?」

 生徒会活動も終わって、夕食を済ませた後。

 私はマグカップを渡してくれて、隣に座った新さんにそう言った。

「ん?どうしたんだ?」

 新さんはそんな私を不思議そうにしながらも、優しい声色で聞いてくれる。

 その反応で私は一瞬、聞くのを躊躇ってしまった。

 だけど……新さんなら、何か分かるはず。

 私はそう思うようにして、意を決してこう口にした。

「今日、疾風君と和向君の様子がおかしかったんです。」

「……おかしい?あいつらが?」

「……はい。」

 私の言葉に新さんは、何のことか分かってなくてきょとんとしている。

 確かに、急におかしいって言われても変だよね……。

 私は一回深呼吸をしてから、今日のことを新さんに話した。

「私に……好きな人はいるのかって聞いてきて、その時の様子が……いつもと違っていたんです。何が違うのかは、分からないですけど……。」

 最初、二人がからかっているのかと思った。

 だけどそういうわけじゃないことは、あの二人の表情を見て分かった。