「ううん、全然大丈夫だよ。……だけど、狼って結局どういうこと?」

 狼の意味って、どういうことなんだろう……?

 不思議に思ってそう尋ねてみるけど、都真君は苦笑いを浮かべたまま私から視線を外した。

「い、いえ……!何でもないですよっ……!」

 その言い方があまりにも慌てていたから、聞くに聞けなくなってしまった。

 うーん……狼は気になるけど、何でもないのなら良いのかな。

 なんだか腑に落ちない部分もあったけど、これ以上考えても分からない。

 だけど、分からないことを考えても……結局ダメだよね。

 私はそう思うことにして、また資料へと目を走らせた。