その雰囲気を倉掛さんも感じ取ったらしい。

うみ先生に「大丈夫です、やります!」と元気よく返事をして、自分の席に戻った。

そんな彼女を目で追う俺。

すると、倉掛さんの隣の席にいる大橋と目が合った。



「(ニッ)」

「……」



今、明らかに俺を見て笑ったよな。

なんの意味があって?



「(注意するに越した事は無いか)」



俺も席に着こうとした、その時。

俺の周りを、女子が一斉に取り囲んだ。



「吾妻くん!連絡先、交換してー!」
「私もー!」
「一緒に話そー!」



「……ごめん」



そっけなく返事をしたはずなのに、なぜか女子は更に湧いた。



「キャー!」
「クール!良い!」
「カッコイイー!」



「(なんでだよ……)」



簡単に諦めてくれるものと思っていたのに、逆効果だったなんて……。手詰まりだ。

こういう時にどうすればいいか分からない。今まで女子に囲まれたことなんてないから、分からないのは当たり前だけど……。

だけど俺の静かに焦っている様子が、女子たちに余計に火をつけたようで……俺の周りを、更に多くの女子が囲む。