だけど私たちは無事にサボれているようで……。誰の邪魔もされないことに、安堵の息をつく。



「(静か……)」



授業中っていうのは、どうしてこんなにも静かで、心地いいんだろう……。さっきまで激しく波打っていた私の心が、落ち着いていく……。

と、そこまで考えて――気づく。

そうだ、私……トキくんにひどい事いって、勝手に泣いて、挙句の果てに授業をサボっちゃったんだ!

「あ、あの、私……」何か言わなきゃ。ってか謝らなきゃ!そう思って口を開く。だけど、私よりもトキくんの低い声が、会話の主導権を握った。



「この静けさってさ、砂那みたいだよね」

「へ……わ、私?」

「うん。この静かな世界と俺が、きちんと交わえている感覚になって、落ち着くんだ。砂那といると、俺はいつも落ち着く」

「落ち着く……?」



それって、まさに私がさっき思った事と一緒……。だけどトキくんは、その言葉が失礼にあたると思ったのか「あ、ごめんっ」と勢いよく謝った。