「酔い潰れて拾われたって。
真湖はアイツにナンパか何かされて、付いてったわけ?
お前ちょっと軽すぎない?」


そうじゃないし。


昌也には言われたくないとか色々言いたい事はあるけど。
 

否定すればする程、逆に色々言われそうで。


今まで、昌也とはそれ程喧嘩した事はないけど、
こういう時は、言い返さず聞き流すのが一番なのだと、この人と長年付き合った経験で分かっている。


早く終わらせて、一夜の元に行きたい。


「真湖、加賀見と付き合ってるの、お前の両親は知ってるの?」


「知ってるわけないじゃない」


それを分かっていて訊いて来てる癖に。


私のお父さんは相変わらず行方は分からないけど、
もし、家に帰って来ても、一夜との関係はお父さんには言えない。


お母さんにも、同じで。


「俺思うんだけど、やっぱりお前の父親が行方不明なのは、加賀見が関係あるんじゃないのか?
だから、加賀見は真湖に近付いて―――」


「いい加減にして!
一夜がお父さんが居なくなった事に関係あるわけないでしょ?」


昌也は以前から、そう。


この辺りで何か事件が起こる度に、聖王会が絡んでいるんじゃないかと、思っていて。


前に、私のお父さんの失踪をこの人に話した時も、そんな感じの事を言っていた。


お父さんの仕事柄、昌也程ではないにしろ、暴力団組織と関わる事もあるかもしれないから。


「…真湖、お前と加賀見との関係、
お前の父親や母親だけじゃなく、その勤め先の人間や、
お前の内定貰った職場の人間が知ったらどうなるんだろうな?」


そんなの、どうなるって…。


私が内定を取り消されるのは確実だろう。


お父さんやお母さんも、それなりに何かあるはず。


私自身の事は、仕方ないと思えるけど、両親迄…。


ただでさえ、私は両親から愛されていないのに。


そうやって、迷惑を掛けたら……。


本当に、私はいらない子だと思われる。