「そういえば、真湖ちゃん卒論は?」


今日も一夜の部屋のベッドで、明るい時間から一夜と二人寝転んでいると、そう訊かれた。


「一夜、私の学生証見たなら知ってると思うけど、私、法学部なんだよね。
うちの大学、法学部は卒論ないの」


「そっか。なら楽でいいね」


一夜は、会話を終わらせるように、ギュッと私を抱き締める。


「うん…」


前にも同じアルバイト先の子と同じような会話をした時、
法学部だと話した私に、司法試験受けるの?とか、弁護士目指してるの?とか訊かれたりしたけど。

一夜は、訊かないのか。


まあ、私の通う大学のレベルを分かっているからわざわざ訊かないのか…。


私の通うK大学で司法試験を合格出来る人はごく稀で、
なので、みんな司法書士や、畑違いの資格の勉強に励んだり、就活頑張ったり。


それにしても、一夜はその辺り全く私に訊いて来ないな。


大学卒業後の、私の進路。

ただ、私もその辺りはなんとなく一夜に訊かれたくないから、
自分からそんな話題は振らないけど。


そもそも、私と一夜は別れる事を前提に付き合っている。


だから、一夜は私の将来になんて興味がないのだろうな。



「真湖ちゃん、好きだよ」


一夜は、飽きるくらい私に愛を囁いてくれる。


実際、どれくらい言われても飽きないけど。


今も、私の心臓はドキドキとしていて。


本当に、このままこの時間がずっと続いて欲しいと思っている。