少女は自身に、眠り続けることを科した。
 昼夜問わず、ひたすら眠り続けなければならない。
 どんなに目が冴えていても。
 ただ目を閉じて、呼吸をして、意識を落とし続ける。
 しかしこれは、ただの逃避にしか過ぎない。
 事実、後に少女は眠りに落ちて無意識の世界に行くことを好むようになる。
 眠り続ける生活は、小学五年生の終わりと共に一旦終了する。
 この頃、少女にはまだ常識、あるいは良識というものが存在していた。
 少女は完璧主義者であった。
 義務教育を受けている人間として、何としてでも学校に通わなければならない。自分の都合で休むわけにはいかない。
 少女は「義務教育」という言葉に縛られている。
 しかし、学校に行ったところで結局は自白を迫られるのみである。
 家族や学校にもいじめの件を相談していたはずだが、特に進展はなかった。
 小学校六年生になった少女は、転入時から仲良くしていた友人となるべく一緒にいることで、自白を迫る同級生の入る隙を作らないようにした。
 友人は少女の良き理解者であり、どんな噂も聞かず、少女を含め誰とでも平等に接していた。
 しかし、中学進学と共に好況は暗転する。
 少女と友人は別々の中学校へ進学し、自白を迫る同級生のグループはもろとも、少女と同じ中学に進学した。
 頼る先を無くした少女は、またしても自白を迫られる日々に追い詰められる。