「あんた、そろそろ白状しなさいよ」
 少女をいじめている同級生は、ことあるごとに少女に迫っていた。
 「私は何もしてないってば」
 「まだ認めないつもり?あんたがあの子をいじめてるんでしょ?」
 虚偽を事実として認めることを拒んだ少女は、頑なに真実を訴え続けた。しかし、同級生の言葉が彼女の心を少しずつ(むしば)んでいた。

 (ああ、私は人をいじめたんだ。いじめっ子なんだ)
 ある日、少女は腹痛がしたような気がしたので学校を欠席した。
 そして、頭の中で同級生の言葉が反復し続けていた。
 この日から、少女は「誰か分からないが私がいじめた人」に対して後悔や謝罪の感情を持つようになった一方で、「誰か分からないが私がいじめた人」である自身に私刑を下し続けた。