少女は、いつしか心の中に悪魔が棲んでいると気がつくようになった。
 自傷の原因はここにある、と。
 オーバードーズやリストカットをするなんて痛々しい、心身が可哀想だと思っていたはずの少女も、気がつけばそれと同じように、言葉の槍で心を刺し続け、自分の手で首を絞めているのである。
 しかしそれは、少女の意に反したものであった。
 ただ、どことなく自分は情けない、人でなしだと思い始めたところからは無意識に手が首へと伸びるのである。
 この時期の少女は、体調に関係なく眠ることが多くなった。
 決して身体の調子が悪いのではない。
 現実から無意識、あるいは夢の世界へ逃げるためだ。
 眠っている間は何も感じず、何も記憶に残らない。
 ただし、夢はそうとは限らないこともある。