「落ち着いて聞いてください。あなたの余命は残り一年です」

動揺もせず、自分を楽観視してみると。ああ、やっぱりそうかと納得した。
私の親たちは隣で絶句していたけど、きっと、この結果を否定する事はないだろう。
長らく通いつめたこの病院。体を良く壊し、原因も分からないまま点滴を眺めている日々。最近は体調も回復してきて、退院までこぎ着けそうだったのに、記憶を徐々に失っていくと言う奇病にかかってしまうとは。
正式名称は、突発性記憶喪失症と言うらしい。記憶が忽然と消えて、しまいには死んでしまうらしい。
まったく、我ながら不幸な人生。
趣味も娯楽も見つからないまま、体を動かし運動をすることも叶わず、もう14年もの月日が経ってしまった。