Side:黒羽皇輝(くろばこうき)




「ただいま」


「お帰りなさーい」


「お帰り」




彼女を送りに、倉庫を発った希実(のぞみ)先輩が幹部部屋に戻ってくると、若菜(わかな)(よう)先輩が挨拶を返す。

少し見慣れてきた光景。




「初代総長、亡くなっちゃったんだねー……」


「あぁ……あの人は特に、悲しむだろうな」




若菜が話を切り出すと、壮馬(そうま)先輩はそう言った。

確かに……“兄さん”は、初代総長が自分の恩人だとよく話していたから、ショックを受けるだろう。




「うん……ねぇコウ、エージさんにはあの子の話、してあげてね」


「……あぁ」


「初代総長の娘さんか……若菜達と同じくらいかな? 可愛い子だったね、皇輝(こうき)?」