もう勉強はしなくていいと言ったけど、皇輝くんは勝手に勉強を続けたこと。

悪いことを教えて、学校に行くことより、飛翔謳歌の仲間といることを優先させたこと。


高校に入ってから皇輝くんと知り合ったわたしは、詠二お兄ちゃんの恩人の娘だったこと。

皇輝くんが停学になったきっかけの騒動は、暴走族絡みだったこと。




「どうせあんたは俺のツレを信じないだろうが、不良でも、伊吹とそこの2人の頭がいいのは本当だ」


「“伊吹”は若菜のお兄ちゃん。若菜専属の家庭教師なんだから」




ぷいっと、若菜ちゃんも不満げに続いて、全てが明るみに出ると、お父さんは溜息を吐いた。

ビクッと震えた皇輝くんを宥めて、わたしは確信を持てた事実を、改めて場に上げる。




「お父さんと離れてから、皇輝くんは誰にも勉強を強要されていなかったんですよね?」