Side:市松(いちまつ)苑香(そのか)


皇輝(こうき)くんに停学処分が下されてしまった週末から、新しい週を迎えて数日。


皇輝くんはもちろん、飛翔謳歌(ひしょうおうか)の一員である若菜(わかな)ちゃんとも最近は会わなくなって、わたしは他のお友達に囲まれるようになった。



今まで皇輝くんに好意的だったクラスメイトのみんなは、まるでそれが禁句になったように、皇輝くんのお話をすることもなくなって。

存在自体を忘れたように振る舞う姿を見ていると、どうしても胸がズキズキと痛んだ。




「やっぱり逢見(おうみ)くんかな?」


「でしょ。真面目な優等生だし、黒羽くんとは大違い」




休み時間、1人でお手洗いに行っていたわたしは、教室の前に戻ってきてそんなお話を耳にする。

聞き覚えのある、クラスメイトの子達の声。