Side:市松(いちまつ)苑香(そのか)




「みんないなくなってる……どこに行ったんだろう……」




仮病を使って教室を抜け出してきたわたしは、そろそろと学校を出て、暴走族の人達が集まっていた校門前をキョロキョロと見回した。

ドクン、ドクンと不安を訴える胸を押さえると、深呼吸をして、バイクの音が聞こえてくる方に向かう。




「あ……!」


「クソッ、あの野郎……!」




少し歩くと、ズリズリと這って車道から歩道に向かっている人を見つけて、逡巡した後に駆け寄った。




「あの、大丈夫ですか……?」


「あぁ!?」




頬に大きな擦り傷を作り、肘やズボンの側面が破れてボロボロになっている人は、怖い顔でわたしを見上げる。

でも、わたしのセーラー服を見るとニヤリと笑って、「おぉ」と答えた。