「あれ? これってこっちだったっけ?」


「ごめん、そこのダンボール誰か取って」




いつもとは違う、ちょっぴりドタバタした生徒会室。

運動部の掛け声を聞きながら、わたし達が部屋の中を行ったり来たりしているのは、みんなで生徒会室のお片付けをしているからだ。




「あー、疲れてきた」


「何か楽しいこと話す? 気が紛れるよ」



苑香(そのか)さん、それ僕が運ぶよ。重いでしょ?」


逢見(おうみ)くん? 大丈夫だよ、これくらい」


「ううん、僕にやらせて。代わりにこっち、お願いしてもいいかな?」




ニコッと微笑んでポスターの山を渡され、目を丸くしながら持ち物を交換する。

黒羽くんについては禁句になりつつも、いつもと変わらず接してくれる逢見くんは、今日も親切で、さり気ない気遣いが光っていた。