昨日、西山に千紗のことを好きなのかどうか聞かれたとき……ちゃんと言えなかった。
本当はずっと、俺は千紗のことが好きなのに。
千紗を好きだという西山の前で、『俺も千紗が好きだ』なんて言えなくて。
あいつらに、また冷やかされたくなくて。
『千紗のこと好きじゃない』って、心にもないことを言ってしまった。
そんな俺も、あいつらと同じガキなのかもしれない。
だけど……。そんなガキな俺は、もうやめる。
俺は顔を上げ、冷やかした奴らを睨む。
「お前ら今、そんなこと言ってる場合かよ? 千紗が倒れたんだ!」
「えっ、仲田さんが!?」
教室がザワザワし始める。
クラスメイトに何を言われようと、どう思われようと、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
何よりも千紗のほうが大事だ。
「俺、今から千紗を保健室に連れてくから。担任が来たら、言っておいてくれるか?」
俺は千紗の膝裏と背中に手をまわすと、抱き上げた。
「キャーッ!!」
その途端、教室に沸き起こる黄色い歓声。
そんなものは無視し、俺は千紗を抱えて教室を出た。



