マコちゃんと一緒に教室へ行くと、朔は自分の席に座って文庫本を読んでいた。
読書に集中する朔の真剣な横顔にすら、ときめいてしまう。
『千紗のこと好きじゃない』って、昨日朔がハッキリ言っているのを聞いてしまったというのに……。
昨日のことを思い出すと胸が痛んで、涙が出そうになる。
私は、朔からスクールバッグへと視線を移す。
そういえば昨日、家まで私のスクールバッグを届けてくれたお礼、まだ朔に言えてなかった。
でも、教室では話しかけるなって朔に言われたし。
「……千紗」
私が自席でひとり悩んでいると、机に影ができた。
「話があるんだけど……」
見上げると、そこには朔の姿が。
え!? どうして朔が……?