「千紗、オレンジジュースありがと〜」
マコちゃんが、私にウインクする。
先ほどの勝負の結果、僅差で私が負けた。
「あーっ、悔しい〜」
だけど、負けたほうがジュースを奢るという約束だったから仕方がない。
マコちゃんに一方的に言われたとは言え。
「千紗。悔しいなら、もう一度勝負する? あたし、受けて立つよ?」
「いやいや。さすがにもう無理だよぉ。なんか暑いし」
がむしゃらに走ったら、背中にじんわりと汗が出てきて暑くなってきた。
私は自分の顔を、両手で扇ぐ。
「マコちゃん。次は負けないから!」
「あたしも! 今回勝ったのはたまたまだって思われないように、次もきっと勝つよ」
マコちゃんと私は、声に出して笑い合う。
廊下は走ったらダメだけど。何も考えずに友達と無心で走って。
落ち込んでいた気持ちが、ほんの少し楽になったかもしれない。
「それじゃあ、千紗。また明日ね」
「うん。バイバイ」
図書室で本を返したあと、昇降口でマコちゃんと別れた私は再び自分の教室へと向かう。



