言い忘れてたって、何を……?


「あのさ。さっきの花占い、別に良いんじゃね?」

「……え?」


言葉の意味が分からず、私は首を傾げる。


「だから……花占い。中学生になってやってても、全然良いと思う。俺は西山みたいに、お前のことをバカにしたりしない。それに……」


朔が、私からふいっと顔をそらす。


「俺も……中学生になってからやったことあるし。その……花占い」


最後は消え入るような声で言うと、耳まで赤くさせた朔は今度こそ歩いていった。


えっと、朔、今……。


『俺も……中学生になってからやったことあるし。その……花占い』って言った!?


幼なじみの予想外の言葉に、私は思わずポカンと立ちつくしてしまう。


うそ。まさかあの朔が、花占いをやったことがあるなんて! 信じられない……。


朔の性格からして、てっきりそういうことはしないとばかり思っていたから。


私は、口元を手で覆う。


あの朔が、花占いかぁ……ふふふ。


朔がひとりで『好き、嫌い』と言いながら、花びらを1枚ずつちぎっている姿を想像し、ひとりでにやけてしまう。


なんか、そういう朔も可愛いかも。


ん? でも、待てよ。


私は、ある事に気づいてしまった。


中学生になってから、花占いをやったことがあるってことは……。


朔にも、好きな人がいるってことーー!?