「にっ、西山(にしやま)くん!」


花占いの途中で私に声をかけてきたのは、クラスメイトで後ろの席の西山くんだった。


西山くんは、朔と同じサッカー部員。

そこそこのイケメンで、活発な男子。


「……痛っ!」


「あっ、あれか! もしかしてそれ、花占いとかいうやつ!?」

「そっ、そうだけど……ていうか髪、引っ張らないでくれる!? 痛いんだけど」


西山くんは、私のポニーテールの髪の毛先を後ろからぐいっと引っ張ってくる。


どういう訳か、西山くんはたまにこうやって私に絡んできては、私の嫌がることをする。


「花占いをしてるってことは……あっ! 仲田お前、好きなヤツがいるんだ?」

「いっ、いるけど……悪い?」

「へぇーっ。いるんだ、好きなヤツ」


西山くんは口の端を上げ、私が持つマーガレットをじっと見つめる。


「なぁ。その好きなヤツって、もしかして。あんど……」