どうしたんだろう。さっきからこっちをじっと見て。
あっ、もしかして朔……。
「ねぇ、朔。もしかして朔も、これが欲しいの?」
私は、朔に残り半分ほどになったイチゴミルクのペットボトルを差し出す。
「いいよ? 飲んでも」
「はっ、はぁ? 何を言ってんだよ、千紗!
俺がそれ飲んだら、お前と間接キス……」
「えっ?」
『何を言ってんだよ』のあとがボソボソと言ってて、さっぱり聞こえなかったけど。
急に頬を赤くさせて、どうしたんだろう朔……。
「いっ、いや……。そんな甘ったるいのなんて飲めるかよって言ったんだ」
朔は、口元を隠すように手の甲で押さえている。
「ふーん。そうなんだ」
小さい頃は私と同じように、朔もイチゴミルクは普通に飲んでたと思うんだけど。
いつの間にか、苦手になったのかな?
「ほら、いつまでも飲んでないで。さっさと帰るぞ。日が暮れてしまう」
「あっ、待って……!」
歩き始めた朔を、私は慌てて追いかけた。