いつも通りの時間に家を出て、電車に乗り海浜幕張で下車した。
 会社があるオフィスビルの方に向かうが、さくらの事が気になり反対口に引き返した。  

 さくらが勤めるホテルは二十階建てのシティホテルで、結婚式場としても有名な所だった。さくらは婚礼課に勤めている。大変な事も多いけど、とてもやりがいのある仕事だと言っていた。  

 ホテルの前で僕は立ち止まった。
 急にどんな顔をしてさくらに会えばいいのかわからなくなった。  

 正直な所、さくらに好きだと言われたのは嬉しい。さくらが小学生だったら無邪気な気持ちとして受け取るだろう。だが、さくらはもう二十五才だ。小学生の子がお父さんと結婚したいと言うのとは意味が違ってくる。 

 ため息が出た。

 もし昨夜の告白が冗談ではなかった場合、どうさくらと向き合えばいいのか。十才の頃から本当に僕の事を好きだったとしたら、想いは相当強いはず。