さくらの言葉はどう受け取ったらいいのか。

 本当に僕と結婚したいのか?
 42歳のおっさんをさくらは男として見ているのか?

 まさか……。

 きっと僕の反応を見て楽しんでいるんだ。
 子供の時から、さくらはいたずらが好きだったじゃないか。

 こんな時、実の父親だったら面と向かって言葉の意味を聞けるんだろうな。
  父親として自信がない事を改めて感じる。

 いや、自信を失っている場合じゃない。僕は父親だ。さくらの家族だ。
 血のつながりがなくても、さくらと家族として過ごした15年という年月がある。

 何があっても僕たちは親子だ。
 真由美の死だって共に乗り越えたじゃないか。

 よし、さくらに聞こう。

 ベンチから立ち上がり家路を急いだ。