「…………」



本当にこんなのがあるんだ…と、1周して感心してしまった。

下駄箱でもなく、ロッカーでもなく、誰かに手渡されたわけでもなく。


それは隠すことなく机のうえに堂々と置かれている、四つ折りに畳まれた厚手の紙を見つけた朝。


“果たし状”と、表面には筆のような太い文字でそう書いてある。



「おー、わざわざ手紙なんて律儀なやっちゃなー」



果たし状を手にして固まっているわたしの背中、ひょっこり顔を出して覗き見てくるひとり。

このクラスメイトだって一応はRain shadowでもあるはずなのに、まるで他人事のように言ってくる。



「……赤矢、お前のところの仕業…?」


「ちゃうわ。うちのもんはそない面倒なことせえへんし。それにどう考えたって、その果たし状はおまえ個人宛やん」



そこにはしっかりと“水本 爽雨”と、名指しだった。



「文句あるんなら直々に相手してやるとか煽った結果やな」


「……」



……確かに言ったけど。

あれは言葉のあやというか、もちろん嘘ではないとしても…。

でもこれって確実に物理攻撃のお誘いだよね…?