Rain shadow─偽りのレヴェル─





ははっと落として、久遠 綾都は斜め前を歩いた。

その背中が夕暮れ空にマッチして、やっぱり絵画でも見ているような気持ちになる。


───と、そんな幸せを打ち消すような音が聞こえてきた。



「う”っ…っ、ガハッ…!!」


「なぁまじで?これで本当に朱雀に通ってんのかよ?」


「ぎゃははっ!ここで倒せばシメれるんじゃねぇ!?」



今まではこんなことなかったのに。

この街は平穏で、不気味なくらいに静かで、だから路地裏にて囲うように暴行を加えている男たちがいることなんて。



「た、助けないと…っ!」


「…いや、行かなくていい」


「でも……!!」


「行っておまえもリンチに遭う?」


「っ、」



確かに何もできない。

わたしは喧嘩もできないから、武力ではなく話し合いでって言った。



「……あれはFoxの下っぱ。俺らが出なくても遼成がどうにかする」


「でもっ、今あの人はいないから…!」


「あいつは弱い奴はいらないってポリシー持ってるから。下手に手ぇ出したらお前が遼成にまた一発入れられるぞ」



なにそのポリシー…。

あの狐のお面を貼り付けたような人にはピッタリのポリシーだけど、そんなの言ってたらいずれ仲間に見放されるに決まってる。