「でもまだ暗くないから、それに瀧とは何もないよ…?」
どーだか、と鼻で笑って続けられる。
「その制服着てると狙われやすい。今は反乱も起きてるから尚更」
「そんなの僕はっ、」
「はー、兄貴に似て聞き分けわりぃね妹のほうも」
「わ…っ、」
覗きこまれるように、目の前に端正な顔が視界いっぱい。
お兄ちゃんと身長はそこまで大きく変わらないわたしだけど、この人はちょっと複雑に思っていそうだ。
「女の子だから心配だって、ここまで言わなきゃ分かんねぇの」
「っ…、」
そんな目をするの…?
それはお兄ちゃんにも同じ顔?なんて、聞く意味だってない気がする。
あなたは女の子を前にすると、そんなにも熱のこもったとろけそうな目をするんだ。
「…わたしは、…お兄ちゃんの代わりに、来た、」
「ん、だろうな」
「どうしても…会いたかったから、」
「久遠 綾羽に?」
すぐに問いかけられた。
だから間髪を容れずにうなずいてしまったわたしを、彼はじっと見つめてくる。
「でも、…くおん、あやとにも、」
会ってみたかった。
兄があんなにも楽しそうに日記に綴っていた存在に。
だってあなたは、わたしが知らないお兄ちゃんの顔だってたくさん知っているだろうから。



