「水本さん!退院したんすね!!」


「ほんと無事でよかったっす…!!」


「あっ、荷物持ちます水本さんっ!!」



リハビリを終えて高校に復帰してからの毎日は、一言でいえば面倒だった。

みんなペコペコ頭を下げるように関わってくるかと思いきや、意外にも人懐っこい笑顔を向けてきて。



「どうかされたんすか…?もしかしてまだ怪我が!?」


「…いや、」



“鬼木 蛇雄”率いる鬼神を無事に片付けることができたからか、俺が知ってる朱雀工業高校とは比べ物にならない一体感。


どうやら深雨は俺のふりをして、こんな関係を周りと築いていたらしいのだ。


まさか誰に対しても笑顔で「ありがとう」とか言ってたんじゃないよな?

そんなのしてたら威厳という威厳を保てなくなるだろう……けど。



「ありがとう。荷物は自分で持てるから平気だ」


「そっすか!気をつけてくださいね!!」



妹の頑張りを兄である俺が無下にするわけにはいかないから。

ぎこちなくなりつつも笑っておく。


本当に俺の代わりにこんな不良のたまり場に通っていたなんて、今更ながらに資格すらなくとも心配してしまった。