のどかだ。

終わりのない空、途切れを知らない雲、縛りのない草原。


なんてのどかで心地よくて暖かい場所なんだろう。



『……翠加、』



どこにいるんだ、お前は。

俺はお前に会いたくてここまで来たんだ。


ここならお前は待ってくれてるって、お前に会えるって、そう思って。

ひとりで寂しい思いはさせたくなかったから、俺がずっと一緒にいてやりたかったから。


そんなふうに格好つけたけど、結局はそれだって俺の情けないエゴでしかなくて。



『…会えないのか……ここでも、』



歩いて歩いて、終わりのない空の下を歩いて。

痛みも苦しみも、不安も恐怖もない。


そんな場所を俺はただ歩いていた。



『───爽雨くんっ!』


『っ……!!』



綺麗な小川と言っては謙虚すぎる、そこは透き通るような浅い川だった。

その向かい側に座って足をパシャパシャと浸けては無邪気に笑っている女の子がいて。



『……すい……か、』



やっと─────……会えた。


お前にずっとずっと会いたかったんだ。

たくさん謝りたいことがあった、たくさん伝えたいことがあった。