Rain shadow─偽りのレヴェル─





マイクにもかかわらず、喉から、お腹から、全身から出した声は反響して届くほどに響いた。



「わた……僕はっ、2年C組水本 爽雨……!!」



すごい、わたしってこんなにも声が出せたんだ…。

さっき首を絞められることがなければもっと出せたかもしれない。



「必ず僕がこの反乱を止めてみせる!!僕はRain shadowの参謀だ……!!!」



Rain shadow。

雨陰(ういん)という意味を持つ英語。


誰がその名前を付けたのかは分からないけれど、わたしの勘で言っていいならお兄ちゃんだと思う。


わたしたちの名前には“雨”という漢字が使われていて。

爽やかな雨はお兄ちゃんだけど、わたしは深い雨。

だから小さな頃、可愛くない名前だといじめられていた時期があった。



『だって深い雨って、あまり良い意味に聞こえねーもん!』


『そーそー!なんか日陰みたいで暗いし、ジメジメしててぜってぇそんなの晴れねーじゃん!』



あなたはきっと、そんな名前でも輝くことができるってことを知らしめたかったんじゃないのかな。

だってそのとき、泣いていたわたしを助けてくれたのはお兄ちゃんだったから。