うずくまるわたしを見下ろしていた久遠 綾都は、つぶやいた。
なにかを知っているような含みある言葉に、けれどわたしはそれとは違う意味で腕を掴んでいて。
「…なに?」
「……ぼくは、…僕は、ほんとうにRain shadowの幹部なんだよね…?」
ブレザーと前髪の隙間から目を合わせる。
溜まっていた涙はもう、とっくに拭い終わった。
「…そうだよ。おまえはRain shadowの創設者であり、頭脳明晰な司令塔。
そして……最高司令塔である俺の参謀だ」
決意は、固まった。
兄が作り上げてきたものをわたしが壊すわけにはいかない。
「っ、綾都…!放送室どこ!!」
わたしはもう、深雨じゃない。
爽雨だ、この不良のたまり場とも言われる男子校に生きる水本 爽雨。
「全音量っ、上げれるだけ上げて…!」
放送室へ案内させて、機材を動かしてもらう。
「いいよ」と目線で合図が送られると、わたしはスッと息を吸ってマイクへ口を近づけた。
「───全員…っ、聞け………っ!!!」
キィィィィィン!!!
それが逆に男たちを静まり返らせたんじゃないかと思う。



