「やーっとお目覚めかァ?負け犬くん」
「……、」
暗い、動かない、喋れない。
わたしの感覚はとても頼りないもので、それくらい意識は朦朧としていた。
そこは湿気の溜まった見知らぬ倉庫。
両手をうしろで拘束するように椅子に縛りつけられている身体、口元にはガムテープ、話すことさえ許されない状況だ。
「にしても、あんなに俺が懲らしめてやったのに生きてたなんてな。負け犬は生命力だけは人一倍ってか?」
「、」
「そのうえ、俺たちを煽るだけ煽ってくれてよ。ここぐらいまでしねェとてめぇらなんか潰せねェ」
だからこんな姑息な手を使ってきたんだ…。
わたしは今日、いつもどおり仲間たちの護衛付きで家へ向かっていた。
そのとき通りかかった1台のバンがあって、中から出てくる男たち、気づけば今だ。
「あーあー、話ぐらいは聞いてやるか。じゃねェと可哀想だからなァ?」
気持ち悪い手が伸びてきて、ビリッとガムテープが乱暴にも外された。
「っ、ぷは…っ!」
ヒリヒリ痛むなかでも呼吸がスーっと通ってくる。
だとしても身動きが取れない状況では気持ちは変わらない。



