息があがった血だらけの姿で膝をつく部下を目にし、すぐに総長である赤矢は問いかけた。



「すみません烏間さん…っ!水本さんが…っ、水本さんが……鬼神に拐われました……っ、」


「っ!!」



すべて聞き終わる前に動いたのは瀧。

血相を変えて真っ先に俺たちに背中を向けて行った。


ジリリリリリリーーーー!!!


今度は校内のどこからか火災報知器の音が響き渡ってくる。



「火事だ……っ!!」


「うそだろ…!?鬼神の野郎…ッ」


「霊池さん…!!オレたちの東棟に火がつけられてます……!!!」



まだ残っていた生徒が一斉に騒ぎ出す校内。


たった今にも言っていたことだ。

鬼木が俺たち相手に真っ向に来るはずがないと。

それを再確認させられた現実は、俺たちに忘れもしない過去を呼び戻してくる。



「久遠、俺は向こうの様子を見てから合流する」


「わかった。場所は把握してるよな」



霊池は冷静さを見せつつも、うなずきながら走っていく様に内心はこの危機的状況に焦っているようだった。



「どうする綾都くん。Foxはいつでも出れるよ」


「Ravenもや」