毎日は止まることなく動きつづけて、4つのグループを統括するRain shadowも着々と準備をしていた。

生徒たちの士気も高まるところまで高まって、みんな前よりもまた気迫という気迫がパワーアップしている。


そりゃあそうだ。

鬼神との決戦まで、1ヶ月もないのだから。



「うん、きっとそのことだよね…」



瀧が鬼木に対する気持ちは、周りのみんなより並外れたものを抱えている。


それはわたしが誰よりも分かること。
わたしだって同じだ。

お兄ちゃんを苦しめた相手のひとりが鬼木でもある。


けれど大好きなお姉さんを追い詰めるだけじゃなく、残酷なまでに殺されてしまった瀧の思いはきっと計り知れないものだろう。



「───深雨!」


「っ…!」



ここは中庭につづく連絡通路だ。

たとえ今は生徒の人通りがないからといって、堂々と呼んでくるなんてどうかしてる。


ドキッ、どころじゃない。

誰かに聞かれていたらどうするのと、ドクドク落ち着かなくて仕方なかった。



「……それは僕の妹の名前だぞ、綾都」



怒っているの意味をこめて、少しだけ睨みつつ振り返る。