見せしめるようにコンクリートの真ん中。
すでに冷たくなっている状態で、はだけた制服とアザだらけの姉が残酷にも横たわっていて。
まさかだった。
あんなにもいつも笑顔を振り撒いて賑やかだった人が、くすりと笑いもしないのだから。
『……ねえ、さん、』
まだほんのりと温かい感覚がするから、もしかすると数時間前までは息をしていたのかもしれない。
ずっと誰かを待って、彼女は祈りつづけていたのかもしれない。
『起きて…くれよ……、目を開けてよ、姉さん、…お姉ちゃん、おねえちゃん……っ、あぁぁあああぁぁあああ!!!!』
小さな頃からおれは、姉さんが目を閉じているところを見たことがなかった。
おれが目を覚ますと必ず先に起きていて、いつもおれよりあとに眠って。
そうやっておれが安心できるように母親から守ってくれていたんだ。
こうしてやっと姉が静かに目を閉じているときが見れたと思えば、悪夢のような悲しすぎる日で。
『───…あやと、』
『っ!爽雨…、』
おれたちの少しあとに、倉庫に到着した爽雨さん。
ほんとうに1人でずっと行動していたのか、珍しく血の匂いをまとわせた参謀が姉を抱くおれの隣にゆっくり寄ってきた。



