Rain shadow─偽りのレヴェル─





おれは弱くて、泣き虫で、いつも姉さんを困らせていて。

姉さんに守られていて、だからいつか強くなって、虐待からも守れるように一緒に強くなろうと誓った。


”一緒に“


それは、当時のおれにとって魔法の言葉のようだった。



『おれっ、つよくなる…っ、お姉ちゃんを守れるくらい、強くなるっ』


『うんっ、頼もしいぞ瀧!約束だよ!!』



そんな約束は、守れなかった。


守れない約束なんか最初からするなと。

もし過去の自分にひとつだけ言えるとしたら、おれはそう言うだろう。



『姉さんが……帰ってこないんです、』



それはおれが高校へ上がる前の春休み前のこと。


拉致られた、弱味として握られた。

すぐに察した爽雨さんの表情を見て、おれはなんてことをしてしまったんだと後悔した。



『……どれくらい…帰ってないんだ、』


『もう…2日は、帰っ───、っ!!』


『なんで俺に言わなかったんだよ瀧…!!』



初めて胸ぐらを掴んできた爽雨さんに、おれは最低なことをしてしまったんだ。


それだけは一番してはいけなかった。

よく考えれば分かったはずだ。
いや、考えなくてもそんなこと分かった。