「当たり前や!てかバルサミコ酢て何に使うねんてっ!!…ん?おい赤菜(あかな)、赤太(あかた)がおらへんぞ」


「ええっ!?ちょっとお兄ちゃん!ちゃんと見ててよ!!あの子どこ行くか分かんないんだから!」



買い物かごいっぱい。

カートから飛び出すくらいの爆買いをしている様子は、見ているだけで微笑ましい。


小さな女の子と、中学生くらいの女の子、そしてよーく知ってる男がひとり。



「んなの言われてもしゃーないやろ…!!赤太の扱いはお前のが上手いやん!!」


「いーから探してきてっ!買い物はあたしがやっておくからっ!!」



とりあえず面白そうだからついて行くことに。

バルサミコ酢の場所も覚えたし、見慣れたクラスメイトの思わぬ一面が知れそうだったから。



「うわぁぁぁんっ!!にいちゃぁぁぁ!!」


「うるせェんだよガキ。てめェからぶつかって来たんだろーが」


「ひっく、うぁぁぁぁん……っ」



柄の悪い男が見下ろす地面に、しりもちをついた男の子が泣いていた。

まだ小学校に上がりたてくらいだろうか。


小さな両手はしっかりとめんつゆを抱えていて、たまらなくなって思わず駆けつけようとすれば───