すると久遠くんはわたしをベッドに下ろすと、腰をあげて教室を出ていってしまった。
しばらくして戻ってきた彼の手には、1枚の写真。
「これが翠加」
流れるままに差し出された1枚に視線を落とすと、やっぱり瀧が持っていた写真にも写っていた女の子がそこにもいた。
「……お兄ちゃんもいる、」
「俺たち同学年だったからすぐ意気投合したんだ。…って、ほとんど翠加の性格だろうけど」
そこに並んでいる3人は。
わたしが知る前の久遠くんと、見たこともない顔をして写るお兄ちゃんと、そして翠加さん。
「瀧がいずれ朱雀に来るって察してた翠加は、最初は偵察のような感じで入ってきて、」
どうしてお兄ちゃんの日記に彼女のことは綴られていなかったんだろう。
お兄ちゃんは、どんな気持ちを隠していたんだろう。
「そのときちょうど色々企んでた俺たちに近づいてきてさ」
無邪気な笑顔は人柄さえも表してくれる。
だってお兄ちゃんがだよ?
あのお兄ちゃんが翠加さんに腕を組まれて、こんなにも照れた顔をしてるんだから。
「教えて久遠くん。…翠加さんのこと、」
教えて、綾都。
僕は、お兄ちゃんは、翠加さんにどんな想いを抱いていたのかを───。



