「わ、わたし…初めて……だった、」
「…おー、」
「…おーって…、」
「んじゃあ、誰かにとられるの嫌だから奪った」
「そんな取って付けたような理由…、勝手すぎる……、」
適当に言うわりには、目に溜まった涙をすくってくれる指の動き。
そこにある表情だって、ぜんぶに答えが出ている。
「でも嫌じゃなかったんだ?」
「っ…、そんなの…わからないよ、」
「ならもういっかいしとくか」
「しっ、しないっ!!」
なんか悔しい……。
でも本当に嫌だったら、気持ち悪かったら、試すようにされた最初に拒絶しているはずで。
「でも今のはお前が悪い。ずりぃわほんと」
「…なにもしてないのに」
「それに加え鈍感無自覚ときた。いちばんタチわりぃんだよ」
そんなこと言われても…。
ファーストキスだったんだから、もっと優しい言葉をかけてくれたっていいのに…。
「───…蛇島 翠加(へびじま すいか)」
いじけていると、聞き慣れたようなそうじゃないような、初めて聞く名前がつぶやかれる。
それはわたしの脳内にひとりの後輩をイメージさせた。
「Rain shadowを作ったのは…俺と爽雨だけじゃない」
「…へび、じま、」
「あぁ、この学校に唯一ズケズケ入ってくる女がいてさ。それが蛇島 翠加。……瀧の姉貴だよ」



