「どう?」
「ど、どうって……、近いと、思う…」
「ん、ゆっくり慣らしてこーな」
「っ…、」
そしてまた、数ミリの単位で近づけては止まっての繰り返し。
こんなにも目の前に絵画。
久遠 綾都ファンの女の子たちごめんなさいと、謝りたい気持ちでいっぱいだ。
……なんて、油断しすぎていた。
「えっ、わっ、───んっ…!?」
………避けることは、いま考えてみれば、できたかもしれない。
後頭部を押さえられているわけでもないし、十分な猶予はあった。
とうとうキス、されてる………らしい。
「ちょ…っ、なっ、ん…!」
「…大丈夫だから、ちから緩めろ」
緩めろって言われても…っ!
きゅっと結んだ唇は、次第に初めて味わう感触にほぐされてゆく。
「ん…っ!んぅっ、」
柔らかすぎて、とろけそうなくらいに甘すぎて。
こんなに柔らかいんだってびっくりする…。
輪郭をなぞりながらつまむように、甘噛みというのだろうか。
まるでそれは妖艶な動きで犯されるみたい。
「や…っ、」
さすがにじわっと浮かぶ涙。
まっすぐ射抜いてくる瞳は、鋭いナイフのような漆黒。



