きゅっと、目の前の制服を掴む。
見上げるように言うと、ようやくわたしを瞳のなかに映し出してくれる。
「…そこで女出してくるとかずりぃんだけど」
わかっている。
それでも諦める気はなかった。
だって何も話してくれないから。
震える唇をぎゅっと噛んで、わたしは見上げつづけた。
すると、なぜか目の前にある端正なルックスが近寄ってきて───
「ちっ、近いよ…!!」
ギリギリの隙間に挟んだ両手。
バクバクと心臓が高鳴るのは、その先の行為を想像してしまったから。
「……退けてくんない」
「だめ…っ、」
「なんで」
「なんでって…っ、退けたら…なんか、やばそうだから、」
「1回でいいから退けてみ。いきなりはしねぇって」
1回でいいからって……。
1回でも退けてしまうと駄目だからこうしてるのに。
漆黒の先はやっぱり読めないけれど、どこか吸い込まれるような気持ちで、そっと外してみる。
「わっ…、まってっ、」
ゆっくり近づいてきた端正すぎる顔は、さっきよりも距離を狭(せば)めただけの位置でピタリと止まる。



