どこか腑に落ちないなかでも返事をした瀧は、それでもわたしの顔を覗きこむように不安そうに見つめてくる。
さっきの姿を見てしまうと今までの瀧じゃないみたいだったのに、やっぱり瀧は瀧だ。
「大丈夫」と、もう1度柔らかく言うと、泣きそうに歪んだ顔はわたしに両手を伸ばしてきた。
「……瀧、平気だって。僕は無事だよ」
「…はい、」
「強かった、すごいよ……あんなに強いんだ瀧って」
「もっと、おれはあなたを守れるようになります、」
この場所にはもうひとり居るというのに、わたしを抱きしめてくる。
たぶん昨日わたしも抱きしめ返してしまったから、彼はそんなものに慣れてしまって。
抱きしめても嫌がられないってことを縫い付けてしまったから。
きっとお姉さんに甘える気持ちに似たものもあるんだろう。
「…ありがとう」
こっ恥ずかしいなかでも笑っておく。
ぽんぽんと、弟のような存在の背中を優しく叩いた。
「ひゃっ、ちょっ…!ここみんないる場所だよ…!!」
「もうほとんど居ない」
「せめておんぶとか…っ」
「だまれ」



