Rain shadow─偽りのレヴェル─





「どこの下っぱ?」


「お、俺はっ、Ravenの…っ、」


「嘘つけ。赤矢はこんな姑息なことしねぇよ。…まだどこにも入ってない使い捨てってとこか」



しゃがみこむことすらせず、ただただ冷酷な眼差しで見下ろす男。


声だけ聞いていれば、うずくまる小さな子供に投げかける優しいトーンにも聞こえるけれど。

それは地獄が広がる世界を目にしているみたいに見えた。


ビリビリと、スタンガンを当てられていないはずなのに全身が震える。

これは今まで感じたことのない恐怖を前にした人間の防衛本能のようなものだろう。



「明日からもう来なくていいから。退学な」


「そっ、それだけは…!!」


「ん?」


「っ…!!す、すみません……、」



彼はやはり最高司令塔なのだと。

この学校のトップに君臨し、4つの勢力ある不良グループを牛耳る幹部の頂点なんだと。


普段とはちがうオーラをまとっただけの「ん?」で、言うことを聞かせる人なんて初めて見た……。


わたしはこの目ではっきりと本物を見てしまったんだと思う。



「これで明日からは安易に手ぇ出せなくなったろ」



ひれ伏す3年の男子生徒を前に、そのひとは満足そうに放った。