柳沢くんは、私の涙を拭った方の手を頬に当てた。

ひやりとしながらもどこか温もりのある体温が心地いい。




「……ねえ、それでさっきの『私の好きな人のことを、悪く言わないでよ』っていうのはどういう意味?悪いけど聞き流してあげられないな」


「えっ……あ……それは」


「できればもうちょっと、ストレートに言って欲しい」




顔がカアっと熱くなる。

そういえば、私そんなこと口走ったな?


……でも、そうだよね。ちゃんと言うつもりだったんだもん。

私は唾を飲み込み、小さく息を吐く。




「……好きです。私、柳沢くんが好きです」




あごに程よく温まった手を添えられ、軽く上を向かされた。

思わず目を閉じると、唇に甘く柔らかな感触があった。


想像以上に優しく重ねられた唇は、わずかに離れてはまた角度を変えて繰り返し触れる。

ブランコのチェーンを握る手に力がこもる。




「やなざわく……苦し……」


「息止めてるからでしょ」




だって息継ぎのタイミングがわからないんだもん!