だけど私は、彼の答えを聞くことができなかった。




「おーい!ここの席空いてるぜ!早く来いよ!」


「うおー、ほんとだ良い席空いてる!ラッキー!」




男子中学生の集団が、すぐ近くの席にやってきて騒ぎ始めたからだ。

どこにそんな元気があるんだろうと不思議なぐらい大きな声でしゃべり続けていて。


静かな声で話していた柳沢くんの声は、全く聞こえなくなってしまった。

一生懸命耳を傾けるも、もう全然だめ。


気が付けば二人は話が終わったのか、店を出て行ってしまった。

……もう、追いかける気は起こらなかった。




「ハンバーガーも食べよ」




テーブルに突っ伏していた私は、一人そう呟いてノロノロと立ち上がった。