こんな、何もできない私を気遣ってくれて、助けてくれて……新さんには頭が上がらない。感謝してもしきれない。

 それに新さんの安心しろって言葉は……本当に安心してしまえる。

 他の人から言われたら気休めにしか聞こえない言葉なのに、新さんの言葉は説得力が違う。

 それと同時に、罪悪感にも押しつぶされそうだった。

 こんなに優しい人を私は騙している。欺いている。

 元宮神菜という本当の姿を隠して、柊木栞として偽りの姿で接してくれている。

 それがとても……苦しかった。

 それに……怖いと感じている。

 いつかは言わなきゃならないことだと分かっているけど……言うのが怖いと思ってしまっている。

 もし言ったら、新さんに嫌われるかもしれない。もう、言葉を交わしてくれなくなるかもしれない。

 そんな不安が募り、口にするのが怖くなっていた。

「どうした、栞?」

「……な、何でもないですよっ!」

 精一杯の笑顔を浮かべて、慌てて新さんに返す。

 何もかもがこの人を騙しているような気分になって、また心が苦しくなった。