最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 だけど……栞がいるなら、頑張れる。

 その時に、僕はある事に気付いた。

 栞は僕が……さとり族だってことをきっと知らない。

 でも言ったら、どうなるか……。

 先のことを考えるのは怖かったけど、栞なら……と思って意を決して言ってみた。

「栞。……僕実は、さとり族っていう種族なんだけど……怖くない?」

 教室に戻ろうとした栞を呼び止め、そんな困らせる質問を投げてしまう。

 何て言われるのかが怖くて、思わず視線を下に移す。

「怖くなんてないよ。」

 ぎゅっと目を瞑った時、同時にそんな声が聞こえて顔を勢いよく上げる。

 栞は相変わらず微笑みを浮かべていて、ゆっくりと口を開いた。

「さとり族はさとり族でも、その前に君は明李君っていう人だから。怖くなんてない。……種族なんて、関係ないよ。」

 にこっと笑った栞に、また心臓が痛くなる。

 やっぱり僕、栞のことが好き。それは大好きなほどに。

「そっか、ありがとう。」

 恥ずかしくて短い返事しかできなかったけど、僕の気持ちは満たされた気分だった。