最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 言った後にはっと我に返り、すぐに距離を取る。

 しまった……勢いで引き留めてしまった……。

 どんなに迷惑な事をしたのかを実感して、慌てて笑顔を浮かべる。

「えっと……な、何でもないです! 引き留めちゃって、ごめんなさい……。」

 視線を下に向けながら、新さんに謝る。

 何て言われるのかな、と考えてぎゅっと目を瞑ると突然自分の体が宙に浮いた。

 ふぇっ……?

「今日はもう戻れないだろ? 栞、帰るぞ。」

「え……?」

 状況を理解していない私に、新さんが軽い説明をしてくれる。

「今日は栞を一人にさせたくない。だからもう、今日は帰る。」

 た、確かにもう今日は教室には戻りたくない……。

 だけど、そこまでしてくれなくても……。

 ……でも。

「ありがとうございます……っ。」

 私はその言葉に甘えるようにして、ぎゅっと新さんの服を掴んだ。

 その時、一瞬だけ空間を移動したような、そんな感覚に襲われた。

 ようなっていうのは、新さんが私の顔を自分の胸元へと押し付けていて、様子が分からなかったから。