最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ～最強さんからの優しすぎる寵愛～

　それに……手をあげられても、反撃はしてはダメだって教えられていたから。

「お前みたいな種族、だっせーんだよ！」

　一層大きな声でそう言われ、痛みを覚悟してフードを深く被った……その時。

　パシッという乾いた音と共に、女の子の澄んだ声が響いた。

「あの……何を、してるんですか……！」

「あ？お前に関係ないだろ！さっさとどっか行け！」

「人を傷つけるのは、ダメですっ！あなたたちがやめない限り、私はどこにも行きませんっ……！」

　彼女は強気な態度でそう言い、彼らと言葉で対抗していた。

　最初は彼らも彼女を追っ払おうとしていたが、興が冷めたのかしばらくするとどこかに行ってしまった。

　彼女はほっと息を吐いていて、自分のことのように安堵している。

「あ、あの……立てますか？」

　彼女がそう言いながら振り返り、おろおろと慌てている。

　その瞬間、ある事に気付いた。

　……心の声が、聞こえない？

　いつもは否応なしに聞こえてくる心の声が、彼女からは聞こえない。

　……いや、どちらかというともやがかかっているような感じでこっちからは見えなくなっている。